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執筆者の写真teratorojito.hand

着物のような色の重なりを手に納まる形に

TeraとRojiと 2018 Autumn出展作家 降幡未来

August 23, 2019


− 作品について教えてください。


コップや平皿などの食器や鳥の顔を施した花瓶や片口を製作しています。

デザインは大きく分けて2種類あり、質感や製作方法の違いにより、見た目の印象の異なるものになっています。


1つはマットな質感とまるみを帯びた形状が特徴的なもので、

もう1つは器に発色豊かな色を流し込んだものになります。



− 作品に描かれている鳥の表情がキュートですね。丸みを帯びた形は鳥から着想を得ているのでしょうか。


鳥の形をしたものをしたものはファンも多いシリーズになります。周りからはなぜ鳥を作っているのかと聞かれるのですが、どうしてもこれを作りたいというこだわりがあるわけではないんです。(笑)


むしろ、鳥をはじめとした、このシリーズの器は丸いカーブの形状を意識しています。手でろくろをひきながら、「あ、ここかな」と思えるカーブの丸みの形がこのシリーズは特徴的です。


作品の雰囲気から、北欧の食器等好きな方に気に入っていただけることが多いです。




− もういっぽうのデザインの特徴は何ですか。


平皿等に色を流しこんでおり、つやっとした仕上げが特徴です。

先ほどの丸いシリーズとは対照的に何かを目指して「かたどる」というわけではなく、色の流れ具合や表面にできた細かなひびをふくめ、作りすぎず、意図しない感覚を意識するようにしています。


前者が「形」が決まっており、派生して「色」が決まるのに対し、

後者は「色」が決まっており、「形」が徐々に作られていくというようなイメージです。

ただし、どちらの作品にも共通するのは「色の重なり」です。


学生時代は染色を学んでいたのですが、着物の十二単など、重なる色合いなどが昔から好きでした。器に対して、こういった色合いを出してみたかったんです。



− 「十二単」といったように、何か作品づくりにおいてインスピレーションとなるものはありますか。


散歩でしょうか。わたしは同じ場所へなんどもいき、季節のうつりかわりによる景色のちがいを見るのが好きです。花が時間の経過によって微妙に変わる色はなんとも言えません。


大先生である三浦景生さん(1916~2015)は陶芸も嗜む京都の染色家でしたが、兎に角、絵付けがとても個性的なんです。トンボや毛虫や昆虫、ウドなどの山菜などなんとも言えない線と色合いは、作品を生み出す際の参考になります。


陶芸をしながらも「色」に意識が向くことが多く、自分の根底には染色の考え方があるのだと思います。



− 「染色」から「陶芸」への転換について教えてください。


陶器作家を目指して行動をおこしたのはつい5年ほど前です。


大学時代に京都で染色を学びんだ後は、アパレル会社所属で販売をしていましたが、会社やお店や商品がなくなった時に、自分は何ができるだろうと戸惑い、納得できていない自分がありました。その想いがだんだん強くなり、会社を辞め、陶芸の学校で学び始めることにしました。


かつて学校で学んでいた染色ではなく、陶芸を新たに学んだのは、染色は分業で職人が作っていくことが多く、一人ではやり切れないと感じたのに対して、陶芸であれば製作工程や販売までの全てを「自分の手の内の中でできてしまうのでは」と思ったためです。余談ですが、パン屋になるかも迷いました。(笑)


陶器は芸術品にもなり、家庭で使えるものにもなりえる幅広さに魅力を感じます。



− 学校を卒業してからはどのように販路を広げていったのでしょうか。


初めて自分の作品を販売したのは、岐阜の多治見の陶器市です。

その後都内の「雑司ヶ谷手創り市」等で継続的に出展するようになり、次第に他作家とのグループ展や店舗での販売委託など販路が広がって行きました。



− 「TeraとRojiと」の出展ではどのようなことが印象的でしたか。


TeraとRojiとは2018年秋に感應寺会場で参加をしました。他イベントと比べると、地域の方々が集まるアットホームさが特徴ではないでしょうか。親子3代でいらっしゃっている方もいて、地元のお祭りのようなあたたかさがありました。


日本各地の手創り市や卸先によっては、作品の雰囲気に統一感を持たせるため、先ほどご説明した2カテゴリーのうち、片方のシリーズを選択して店頭に並べる必要がある場合や、1点もののような作品を置くことが難しい場合があります。


TeraとRojiとは、自分の好きなように作品をレイアウトをできるので、1点ものや新たに自分が挑戦した作品の感想をお客様から得られます。



− 「TeraとRojiと」はどうしたらもっと面白くなりますか。


谷中の街並みを楽しみながら散歩していく、というコンセプトに合わせて、「谷中霊園の桜並木」のもとで開催したら盛り上がりそうですよね。


並木道に出展作家が並んでいたら見ごたえがありそうです。

車両も通るので対応は考える必要がありますが、出展者もお客様も魅力的に感じると思います。



− 今後の活動について教えてください。


オンラインでの販売を始めてみようと思います。そこで1点ものの作品をオンラインで販売したり、イベントで知り合った遠方の方とのつながりを大切にしたりしたいです。


また、拠点を地元の長野県中野市へ移して製作をしようと考えています。

東京のイベントは引き続き通いますが、大きな土地と自然に囲まれた環境で専念していきたいです。


製作に忙しくなるとつい引きこもりがちになるので、次第に、いかに自分の周りの環境を整えるかが大事と考えるようになりました。


東京は外へ自分が出かけていくことでインスピレーションを得ることが多いですが、長野であれば窓から見える景色がいい、などの身近からいい刺激が得られると思いました。



− 是非長野で洗練された作品をもってTeraとRojiとに出展くださいね。ありがとうございました。


もちろんです。ありがとうございました。




執筆 - 川上 智子(かわかみ ともこ)

写真 - 折尾 大輔(おりお だいすけ)


 


インタビューした作家


降幡 未来(ふるはた みき)

長野県中野市出身。学生時代は染色を専攻し、卒業後アパレル業界へ就職。陶器の道へ進むことを決心し、専門学校で2年間陶芸を学ぶ。卒業後2年でイベント出展、グループ展、国内外での作品の取り扱われる実績を築いた。TeraとRojiと2018 Autumnの部に出展。

東京、静岡、広島、香港、他



 


TeraとRojiとではゆったりと時の流れる谷根千で作家との出会いを楽しんでほしい、という思いをもって活動しています。

そこで、作品づくりの背景やイベントに関する意見交換を作家として積極的に参加いただける出展作家さまを募集しています。

よりわくわくするような「TeraとRojiと」を一緒に創っていきましょう。


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