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執筆者の写真teratorojito.hand

一粒で華やぐ、身に着ける植物標本

TeraとRojiと 2019 April 出展作家 ハクモクレン(宇都宮美和)

September 7, 2019


− 作品について教えてください。


“植物の美術館 -Museum of plants- ”をコンセプトとしてキューブの形の樹脂に植物の種や花びらを閉じ込めたアクセサリーやハーバリウム、ブローチなどを販売しています。


美術館に行くと、絵画の横に説明書きがありますよね。同様に花言葉や花にまつわるいわれを書いたプレートを商品と併せて置くようにしています。


美術館にいるときのように、見にきてくださる人が、楽しんだり癒されたりするようなものを作っていきたいと考えています。



− キューブが可愛らしく人目を引きますが、なぜこの形なのでしょうか。


キューブにするといろいろな方向から植物を観察できるからです。


作家を目指す前から植物が好きで、おもしろい植物を見つけては樹脂に固めて保管していたんです。植物を標本のように綺麗に保管しておくことが目的だったので、よく見える形を探した結果、キューブになりました。樹脂を固めるという作業自体も楽しく、趣味として遊んでいました。


あるとき友人から「アクセサリーにしてみてはどうか」という誘いがあり、自分で作成していたキューブ状の植物標本にアクセサリーの金具をつけてみたことをきっかけとして、この形が出来上がりました。



− 植物標本となる植物はどのように選んでるのですか。


やはり第一は姿形が変わっているものでしょうか。個性的な形や色をしている実など、立体としてのおもしろさに惹かれます。


また、花言葉やいわれがすてきなものもよく取り扱いますね。


例えば、オミナエシの花言葉は「うつくしい人」なのですが、これは江戸時代にオミナエシの佇まいが女性の姿に似ていることから、この花言葉が生まれているという説があるんです。


花言葉に共感して購入いただく方も多いのですが、さりげなく身に付けられるこのアクセサリーが、普段外に対して強く振る舞わなければならない女性などの背中を押せるようなものにできたら、と考えています。


ちなみに、ナズナの英語の花言葉は「あなたに私のすべてを捧げます」なんです。男性が女性へのプレゼントでナズナを選んでいるとき、こちらがドキドキしてしまったりします(笑)



− TeraとRojiとに足を運んでくれるお客様はどのようなかたでしょうか。


10代から60代くらいまで幅広い年齢層のかたがいらっしゃいました。近隣の商店の従業員さんが立ち寄りがてら購入してくださり、マルシェを楽しみにしているご近所さまがいる地域だと感じました。


また、谷根千の街の雰囲気の良さも相まって、リラックスしながらお客様との会話を楽しめたことが印象に残っています。


当時TeraとRojiとは谷根千の複数の会場で実施されており、会場を回ってスタンプを集めると割引クーポンをもらえるというスタンプラリー企画があったのですが、みなさん割引目的というよりもスタンプラリー自体を楽しみながら、会場を巡っており、お客様側の肩の力が抜けているような感じを受けました。


私としても自然体でそのようなお客様と接することができたことはとてもよかったです。



− 「TeraとRojiと」と他イベントとの違いをどのようなところに感じましたか。


2日間にわたって開催されるので、他の出展作家とも仲良くなり、自分の制作のモチベーションになりました。


みなさんこだわり・信念をもって制作されているので、自分もそういう風になりたいという気持ちを掻き立てられて楽しかったです。


当初とても暑い日だったのですが、施設の方が打ち水をしてくれたり、氷水にラムネが浮かべてあったりしたんですね。会場の雰囲気もますます良くなりましたし、自分が取り扱っている樹脂のみずみずしさと相乗効果があり個人的に嬉しかったです。



− 今後はどのような作品を作っていこうと考えていますか。


ドライフラワーを使った作品とは異なる新しい領域に挑戦したいと考えています。


例えば、水彩絵の具で植物のドローイングを描き、いろいろなプロダクトへ展開してみたいです。すでにノベルティとしてイラストをお客様へお渡しすることは始めているのですが、正式に商品のラインナップの一つにしていきたいと考えています。


今はイラストを編集してみたり、色々な素材にプリントしてみたりして研究しています。


また、装(よそおい)を考えるのが好きなのでパッケージデザインも興味があります。今取り扱っているドライフラワーも外装によって雰囲気がかなり変わってきます。

パッケージも合わせて完成した時の出来栄えを作り上げることに達成感があるので、店の雰囲気や商品のコンセプトにあった素材がどれなのかを考えるような仕事も受けてみたいです。



− あらゆる可能性が見えて、作家としての活動がとても楽しみですね。


ありがとうございます。


作家としての仕事は本当に楽しく感じています。

作家生活を始めてからというもの、収入面ではいろんな波があり、先を考えるともちろん不安に思うこともあります。


一方で、自分の好きなことをやっているという幸福感は今が最高潮、人生の中で一番活き活きとしていると思います。


今は次の商品展開について模索している時期になりますが、これを乗り越えた先にどのようなものができるか楽しみです。



− ありがとうございました。また次回のTeraとRojiとで新しい挑戦を見せてくださいね。


いろいろなことに挑戦したいので、マルシェの企画でお手伝いがあればぜひ声をかけてくださいね。ありがとうございました。



執筆 - 川上 智子(かわかみ ともこ)

写真 - 折尾 大輔(おりお だいすけ)


 

インタビューした作家


ハクモクレン 宇都宮美和(うつのみや みわ)

島根県出身。都内でジュエリー販売スタッフを経験後、国際トータルフローリスト協会認定ITFAフラワーアレンジメントベーシックを取得。趣味の植物収集が転じて、ボタニカルブランド「ハクモクレン」を立ち上げる。都内の手づくり市や百貨店、オンライン販売にて作品を展開。TeraとRojiと2019 Springの部に出展。




 

TeraとRojiとではゆったりと時の流れる谷根千で作家との出会いを楽しんでほしい、という思いをもって活動しています。


そこで、作品づくりの背景やイベントに関する意見交換を作家として積極的に参加いただける出展作家さまを募集しています。


よりわくわくするような「TeraとRojiと」を一緒に創っていきましょう。

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